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「法定12項目とは?」必見!ドライバー教育について徹底解説!
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物流事業者はドライバーに対して指導・教育を行う必要がありますよね。
国土交通省の定める「貨物自動車運送事業輸送安全規則」において、法定12項目とも言われている教育を年間通して実施しないといけません。
しかし、ドライバー教育とは? 法定12項目って何? 何をしたらいいの? など、このようなお悩みありませんか?
そこで、今回は法定12項目の目的や項目別に解説していきます。
別ページではさらに細かく項目別に解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
目次
ドライバー教育とは?法定12項目とは何?
ドライバーに対して指導、教育を行う必要があることはご存知かと思います。国土交通省の定める「貨物自動車運送事業輸送安全規則」第10条に、「運転者に対する適切な指導及び監督をしなければならない。」(一部抜粋)と記載されています。
では、具体的に何を教育したら良いのかについては、「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導および監督の指針 国土交通省告示第1366号」(法定12項目)に記されています。
基本的には国土交通省が公表している下記資料を参考に指導・教育をしてもらえたら良いと思います。
一般的な指導及び監督の実施マニュアル トラック事業者編
URL:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/instruction.html
法定12項目の目的
法定12項目の目的は国土交通省の告示(第1366号)によって以下のように定められています。
「事業用自動車の運転者は、大型の自動車を運転したり、多様な地理的、気象的状況の下で運転したりすることから、道路の状況その他の運行の状況に関する判断及びその状況における運転について、高度な能力が要求される。このため、貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運転者に対して継続的かつ計画的に指導及び監督を行い、他の運転者の模範となるべき運転者を育成する必要がある。そこで、貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督は、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)その他の法令に基づき運転者が遵守すべき事項に関する知識のほか、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転に関する技能及び知識を習得させることを目的とする。」
引用:貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(平成13年8月20日国土交通省告示第1366号)
要するに、トラックの運転は車体の大きさや特性、天気等の環境により適切な判断と高度な能力が必要なため、法令や運転に関する技能・知識を習得させることを目的として、継続して指導を行う必要があるとのことです。
実施する頻度や保管について
では、12項目実施の頻度について見ていきましょう。
- 毎月1項目ずつ実施
- 数か月に1回、複数項目を実施
- 1年間に1回まとめて実施 など
物流事業者の状況に応じた実施で問題はありません。
しかしながら、
- 法定12項目は年間を通して継続的かつ計画的に実施する必要がある。
- 年に1回12項目をまとめて実施すると時間や労力がかかり、ドライバーに内容が伝わらないおそれがある。
これらを考慮すると、年間を通して計画的に実施いただく方が良いかもしれないですね。実施した時間よりもドライバーに伝わることが、安全運転には必要だと思います。
また、12項目を実施した記録は、3年間保存しなければならないと定められています。
- 議事録
- 乗務員教育記録簿
- 使用した資料 など
これらをファイル等でまとめておくと適正化事業実施機関による巡回指導の時に提出を求められてもすぐに対応することができるので安心です。
法定12項目の内容
それぞれの項目について解説をしていきます。
各項目のより詳細な情報が必要な場合は、別ページにて解説予定ですので記事がアップするまでお待ちください。
①事業用自動車を運転する場合の心構え
▪指導難易度:★☆☆
社会や他の運転者に対して及ぼす影響の大きさと、安全運転の意識を持って模範となる運転を心がけていただくことが目的の項目です。
トラック輸送の現状や事故などの統計資料を指導に用いて、事故が及ぼす影響の大きさや模範的なドライバーについてしっかりと伝えましょう。
統計資料は国土交通省や警察庁などで公表されているので、目的に沿った資料を活用するのが良いと思います。
②事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
▪指導難易度:★★☆
こちらの項目では、日常点検の励行や運行前後の点呼などの安全を確保するためのルールの周知や、危険運転への罰則やリスクについて確認する事が目的です。
遵守すべきルールについて、また、危険運転の際の罰則について事例や具体例をもとに説明するのが良いでしょう。
③事業用自動車の構造上の特性
▪指導難易度:★★☆
トラックは乗用車と異なる車体構造やその特性に応じた運転が必要になります。トラックを運転する際の留意すべき事項をドライバーに認識してもらうことを目的としています。
④貨物の正しい積載方法
▪指導難易度:★★☆
偏荷重や荷崩れ防止のための貨物の積載や固縛方法について指導します。また、荷崩れ防止のための走行中の注意事項についても周知しましょう。
物流事業者によって貨物の種類が異なるので、積載や固縛方法については自社や荷主のルールに定めがある場合は、そのルールに則って指導すると良いと思います。また、偏荷重による運転への影響や荷崩れを防ぐための運転について周知しましょう。
⑤過積載の危険性
▪指導難易度:★★☆
過積載による危険性や罰則、過積載を防止するためにどのような対応を取るべきか理解させることを目的としています。
過積載による制動距離やブレーキなどの運転への影響や罰則の内容、過積載を防止するための心得について指導すると良いでしょう。
⑥危険物を運搬する場合に留意すべき事項
▪指導難易度:★★★
危険物の性状や取扱い方法、積載方法、運搬方法の留意点について指導しましょう。
しかし、危険物を運搬しない事業所にとっては「何を指導したらいいの?」といった声を数多く聞きます。
その場合は、危険物の種類や性状、取扱方法などを知識として伝えると良いでしょう。
⑦適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
▪指導難易度:★★☆
安全な運行をするためには、事前に運行経路状況の把握や情報収集が必要であるとともに、許可運送が必要な場合における留意点について指導しましょう。
運送経路が決まっているルートの場合は、危険箇所についての情報は収集しやすいですが、そうでない場合は情報が収集しにくいため、ヒヤリハットの事例を説明することでドライバーの理解も深まるかと思います。
⑧危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
▪指導難易度:★★☆
危険予知トレーニングを通じて、危険の予測及び回避の方法を根付かせることを目的としています。
この項目では危険予知トレーニングを行うと良いでしょう。
子供や高齢者、自転車、雨天時、降雪時、強風時などといった様々なケースを想定して、危険予測や対処方法について指導をすると良いかと思います。
⑨運転者の運転適性に応じた安全運転
▪指導難易度:★★☆
適性診断の結果をもとに、ドライバー自身の性格や運転特性を自覚させ、日々の安全運転に役立てることを目的としています。
適性診断表を用いて、ドライバーの運転の特徴やクセを自覚し、事故に繋がりやすい性格特性などが運転に現れないよう指導すると良いかと思います。
⑩交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因とこれらへの対処方法
▪指導難易度:★★☆
生理的、心理的な要因が交通事故を引き起こす恐れがあり、その要因が運転に与える影響について解説することが大切です。
過労や睡眠不足、飲酒、薬の副作用などが運転に及ぼす危険性についてドライバーに伝えると良いでしょう。
飲酒運転の検挙数は減少傾向にありますが、無くなってはいません。飲酒運転や薬物の使用の禁止を徹底しましょう。
⑪健康管理の重要性
▪指導難易度:★☆☆
疾病が交通事故の要因になることを理解し、日々、心身の健康管理を心がけることが大切です。
健康診断は年1回、深夜業務の方は年2回受診されているかと思います。診断結果をもとに、生活習慣の改善や精密検査の受診を促しましょう。
度々、健康に起因する重大事故が報道されていますので、事例を用いて健康管理を心がける重要性について指導しましょう。
⑫安全性の向上を図るための装置を備えるトラックの適切な運転方法
▪指導難易度:★★★
運転支援装置の種類や性能について理解をさせるとともに、性能への過信や誤った使用方法が交通事故の要因になるおそれがあることについて指導しましょう。
「性能を過信していない」「使い方が分からない」という方が多くいらっしゃるのではないかと思います。
まずは運転支援装置を知ること、そして、過信せずに安全運転を心がけることが大切であると思います。
運転支援装置に係る事故事例を用いても良いかもしれません。
指導教育をしなかった場合は?
法定12項目を実施していない場合は罰則が科せられるおそれがあり、「運転者に対する指導監督義務違反」とみなされた場合は、初回:20日車 再違反:60日車の罰則となることがあります。
実施した教育の記録は3年間保管することをお忘れなくお願いします。
まとめ
ドライバー教育の法定12項目は義務であり、安全輸送には欠かせない内容になっています。
指導者が12項目の内容をしっかりと理解し、ドライバーに伝える事ことが重要です。
教育資料の準備、指導・教育の実施には根気が必要ですが、前向きに取り組んでいく姿勢が安全輸送への一歩となるでしょう。