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「運転者台帳」とは?対象者や書き方、保管期間などについて解説!
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運送会社では運転者台帳の管理、保管が義務付けられています。ドライバーを雇用した際にも作成及び管理が必要になります。
運転者台帳は巡回や監査において非常に多い指摘項目の1つです。
本ページでは、どのように作成したらよいのか、どんなルールで作成するのか、書類に不備があった場合の罰則など、「運転者台帳」について詳しくご紹介していきます。
目次
運転者台帳とは?
運送会社は、自社ドライバーの「運転者台帳」の作成・管理を義務付けられていますが、そもそも「運転者台帳」とはどのようなものなのでしょうか。
一言で申し上げると、「ドライバーのデータ」になります。ドライバーの氏名や生年月日などの基本情報から交通関連情報、更には健康診断や適性診断の結果までをまとめたデータのことを「運転者台帳」といいます。
なお、運転者台帳が作成されていない事業所や記載不備がある事業所は、罰則の対象となってしまうため、しっかりと管理していく必要があります。
対象者はどのような人?
自社で雇用するドライバー全員が対象になります。
雇用形態にかかわらず、ドライバーを雇用した場合には作成することになります。
つまり、正社員だけではなく、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員にも作成が必要になります。もちろん、1日だけの雇用や繁忙期だけの雇用でも作成しなければなりませんし、経営者や管理者がまれにトラックに乗務するという場合でも作成しなければなりません。
運転者台帳の作成方法と保管期間について
運転者台帳は、書式指定はございません。必要項目を記載したものであれば、自由な書式で管理して問題ありません。トラック協会のHPでフリーのフォーマットをダウンロードできるので、そちらを参考に自社に合わせたフォーマットの作成も可能です。
運転者台帳の保管に関については、貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の5第2項で「3年間」の保管を定められています。退職者であっても3年間は保存が必要になりますので、退職後も管理する必要があります。
運転者台帳の記載項目について
運転者台帳は、フォーマットの指定はありませんが、貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条に基づき下記10項目の記載が必須です。
① 作成番号及び作成年月日
② 事業者の氏名又は名称
③ 運転者の氏名、生年月日及び住所
④ 雇入れの年月日及び運転者に選任された年月日
⑤ 運転免許に関する事項
⑥ 交通事故歴・交通違反歴
⑦ 運転者の健康状態
⑧ 輸送安全規則第10条第2項(従業員に対する指導及び監督)の規定に基づく指導の実施及び適性診断の受診状況
⑨ 運転者台帳の作成前6月以内に撮影した単独、上3分身、無帽、正面、無背景の写真
⑩ 運転者でなくなった年月日及び理由
もう少し具体的に解説していきます。
①作成番号及び作成年月日
ⅰ)作成番号
作成番号の付け方の指定はなく、基本的には会社ごとに自由につけていただいて良いです。あくまでも管理上の番号なので、多くの会社では、社員番号や登録順に連番で付けていることが多いようです。
ⅱ)作成年月日
入社年月日と間違いやすいですが、運転台帳を作成した年月日のことを指します。記載情報の更新時には、更新した年月日を記載しましょう。
②事業者の氏名又は名称
この項目では、事業者名(会社名)と営業所名を記載します。営業所がない・本社のみの場合では、営業所の項目は、「本社営業所」とするとよいでしょう。
③運転者の氏名、生年月日及び住所
この項目では、対象のドライバーの下記3項目を記載します。
- 運転者の氏名
- 生年月日
- 運転者の住所
結婚や引っ越し等で名字や住所に変更があった場合に記載情報の変更を忘れないようにしましょう。
④雇入れの年月日及び運転者に選任された年月日
一見、同じ意味に捉えられそうなこちらの項目ですが、それぞれの概念は下記の通りとなります。
- 雇入れ年月日=入社日
- 運転者に専任された年月日=研修や教育を終えて、稼働することになった年月日
⑤運転免許に関する事項
指定されている項目は以下3点ですが、この項目においては、記載する代わりに運転者台帳に運転免許証のコピーを貼付し管理していく方法でも問題ありません。
Ⅰ.運転免許証の番号及び有効期限
Ⅱ.運転免許の年月日及び種類
Ⅲ.条件が付されている場合は、その条件
免許の更新があった場合に新しい免許証のコピーに変更する必要がありますので、注意してください。
⑥交通事故歴・交通違反歴
ⅰ)交通事故歴
第一当事者である場合のみ下記3点を記載しますが、「当該事故の記録の写し」を添付又は、事故の発生日時や場所及び事故の概要(損害の程度を含む)を運転者台帳に記載し、それ以外については当該事故の記録の作成番号等容易に事故の記録を参照できるようにするための情報を記載することで代えることができます。
- 事故の発生日時
- 発生場所
- 事故の概要(損害の程度を含む)
ⅱ)交通違反歴
通知有無に関わらず、事業用自動車の運行中に道路交通法違反があった場合には、違反の種別、違反を起こした年月日及び場所を記載しましょう。
⑦運転者の健康状態
健康診断の実施日、健康状態などを記載しますが、以下2つの方法でも問題ありません。
- 運転者台帳へ「健康診断個人票」又は「健康診断の結果の通知の写し」を添付
- 受信日を記載し、「健康診断結果は別紙」と記載した上で別途保存
⑧輸送安全規則第10条第2項(従業員に対する指導及び監督)の規定に基づく指導の実施及び適性診断の受診状況
下記の適性診断を受診した年月日と所見を記載します。
- 初任診断
- 適齢診断
- 特定診断
初任運転者、適齢運転者、事故惹起者に対して特別教育を行う必要があるので、実施年月日と内容を記載することを忘れないようにしましょう。
⑨運転者台帳の作成前6月以内に撮影した単独、上3分身、無帽、正面、無背景の写真
所定の写真を運転者台帳に貼付します。
⑩運転者でなくなった年月日及び理由
運転者でなくなった場合は、運転者でなくなった年月日及び理由を記載し、3年間保存する必要があります。
作成や更新を怠った場合の罰則について
「運転者台帳」の不履行には下記の罰則が伴います。
- 5名以下作成なしの場合:初違反 警告/再違反 10日車
- 6名以上作成なしの場合:初違反 10日車/再違反 20日車
- 全て作成なしの場合:初違反 20日車/再違反 40日車
- 記載事項等不備の場合:初違反 警告/再違反 10日車
- 運転者台帳保存義務違反の場合:初違反 警告/再違反 10日車
※〇日車とは、〇日間運行できない車のこと
(例)10日車:車両が10日間の使用停止
まとめ
いかがでしたでしょうか。
運転者台帳は、作成から管理保存までしっかりと行わなければ、罰則対象となってしまう重要な書類の一つです。書類の情報が古くないか、不備がないか、この機会に再度確認してみてはいかがでしょうか。