トップページ お役立ち情報 危険運転とは?該当する行為や危険運転致死傷罪の罰則・2026年法改正を解説

危険運転とは?該当する行為や危険運転致死傷罪の罰則・2026年法改正を解説

公開日:2026年10月06日
執筆者:株式会社アスア 編集部
この記事でわかること
  • 危険運転の基本定義と危険運転致死傷罪の成立要件・他罪種との違い
  • 2026年7月施行の法改正による主な変更点
  • 危険運転を受けた際の対処法と運送会社が取り組むべき防止策
truck
危険運転とは?該当する行為や危険運転致死傷罪の罰則・2026年法改正を解説

危険運転は、飲酒運転や著しい速度超過、あおり運転など、重大事故につながる危険性の高い行為です。ただし、一般的に危険とされる運転のすべてが、法律上の「危険運転致死傷罪」に該当するわけではありません。成立には、法律で定められた運転類型や死傷結果、事故との因果関係などが必要です。

本記事では、危険運転の意味や該当し得る行為、2026年7月施行の法改正による変更点、危険運転致死傷罪の成立要件や罰則を解説します。過失運転致死傷罪・妨害運転罪との違いや、危険運転を受けた際の対処法、運送会社が取り組むべき点呼・安全教育・運転データ活用などの防止策も紹介するため、安全管理体制を見直す際の参考にしてみてください。

危険運転とは

危険運転という言葉は広く使われていますが、一般的な意味と法律上の意味は必ずしも一致しません。危険運転致死傷罪との違いや、危険に見える運転がどのような場合に法律上の犯罪となるのかを正しく理解することは、安全運転や事故防止につながる重要な視点です。ここでは、危険運転の意味や危険運転致死傷罪との違いについて解説します。

一般的に「危険運転」と呼ばれる運転

一般的に「危険運転」とは、交通事故を引き起こす危険性が高く、周囲の安全を著しく脅かす運転行為全般を指します。具体的には、飲酒運転や薬物使用下での運転、著しい速度超過、あおり運転、信号無視、スマートフォンを操作しながらの運転、無理な追い越しなどが代表例です。これらは道路交通法違反に該当する場合が多く、重大事故につながるおそれがあるため、社会的にも危険運転として認識されています。

一方で、「危険運転」という言葉は法律上の正式な罪名ではありません。ニュースや日常会話で使われる危険運転と、自動車運転死傷処罰法に規定された「危険運転致死傷罪」は意味が異なるため、混同しないことが重要です。運送会社においても、法令違反の有無だけでなく、事故につながる危険な運転行動そのものを防止するという視点で、安全教育や日々の運行管理に取り組むことが求められます。

法律上の「危険運転致死傷罪」

危険運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させた場合に、特に悪質かつ危険な運転行為を厳しく処罰するために定められた犯罪です。飲酒や薬物の影響で正常な運転が困難な状態での運転、進行を制御できないほどの高速度での運転、赤信号を殊更(ことさら)に無視する運転、妨害目的で重大な危険を生じさせる運転など、法律で定められた類型に該当する行為が対象となります。

2026年7月21日施行の法改正では、飲酒運転や高速度運転について数値基準が導入され、適用要件がより明確になりました。また、ドリフト走行など意図的に車両を制御困難な状態にする「殊更滑走等類型」が追加されるなど、危険運転致死傷罪の対象となる行為も拡充されています。

危険に見える運転のすべてが危険運転致死傷罪になるわけではない

危険に見える運転であっても、そのすべてが危険運転致死傷罪に該当するわけではありません。危険運転致死傷罪が成立するには、法律で定められた危険な運転類型に該当することに加え、その運転によって人を死傷させたことなど、一定の要件が必要です。そのため、著しい速度超過や危険な車線変更などがあっても、要件を満たさない場合は別の犯罪や道路交通法違反として処理される場合もあります。

また、2026年7月の法改正で設けられた数値基準は、安全か危険かを分ける基準ではありません。基準未満の場合の法的な扱いについては、後述します。

危険運転致死傷罪に該当し得る主な行為

危険運転致死傷罪は、危険な運転であればすべてが対象になるわけではなく、法律で定められた悪質かつ重大な危険行為に限って適用されます。2026年7月の法改正では対象となる行為が追加・明確化され、適用範囲への理解がこれまで以上に重要になりました。ここでは、危険運転致死傷罪に該当し得る主な行為について解説します。

アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態での運転


アルコールや薬物の影響によって正常な運転が困難な状態で車を走行させ、その結果として人を死傷させた場合は、危険運転致死傷罪に該当する可能性があります。飲酒や薬物の影響を受けると、判断力や注意力、反応速度が著しく低下し、危険を回避するための適切な操作ができなくなるためです。

この類型では、測定値だけでなく、事故前後の言動、ふらつき、操作状況、映像などから、運転能力がどの程度低下していたかも重要な判断材料になります。薬物についても、種類や摂取量だけで一律に決まるわけではなく、実際の運転への影響が確認されます。そのため、運送会社では体調変化や服薬状況を申告しやすい環境を整え、異常があれば乗務を見合わせる判断基準を設けておくことが大切です。

法定速度を大幅に超えるなど進行制御が困難な高速度での運転

著しい速度超過によって車両の進行を制御することが困難な状態で運転し、人を死傷させた場合も危険運転致死傷罪に該当し得ます。速度が高くなるほど停止距離は長くなり、歩行者や他車両の動きに対応する時間が短くなるため、重大事故につながる危険性が大幅に高まります。

この類型では、速度そのものに加えて、道路の幅員やカーブ、勾配、交通量、天候、車両性能なども危険性を判断する材料になります。同じ速度でも、見通しの悪い交差点付近や濡れた路面では危険度が大きく変わります。事業用車両では、速度超過の有無だけでなく、デジタルタコグラフの記録と運行ルートを照合し、危険な区間で無理な速度になっていないかを確認することが重要です。

運転に必要な技能がない状態での運転

自動車を安全に運転するために必要な技能がないにもかかわらず運転し、その結果として人を死傷させた場合は、危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。ここでいう「技能がない状態」とは、単なる運転経験不足だけではなく、車両を安全に操作できる能力が著しく欠けている状態を指します。

例えば、一度も運転方法を習得していないまま公道を走行した場合や、車両の基本的な操作方法を理解しないまま運転した場合などが該当する可能性があります。無免許運転であっても、必ず危険運転致死傷罪になるわけではありませんが、安全に運転する技能が著しく不足している状態で重大事故を起こした場合には、より重い刑事責任を問われることがあります。事業用車両では、適切な教育や資格確認を徹底し、技能が十分でない運転者を運行させない管理体制が重要です。

妨害目的で重大な交通の危険を生じさせる運転

他の車両の通行を妨害する目的で危険な運転を行い、人を死傷させた場合も危険運転致死傷罪の対象となる可能性があります。いわゆる「あおり運転」のように、前方への急な割り込みや急ブレーキ、過度な車間距離の詰め寄り、進路妨害などによって相手を危険な状況へ追い込む行為が代表例です。

重要なのは、単なる交通違反ではなく、相手を妨害する明確な意思を持って危険な運転を行ったかどうかが判断要素になる点です。実際に重大な交通の危険を発生させ、その結果として死傷事故が起きた場合は、過失ではなく極めて悪質な運転として重い刑事責任を負う可能性があります。運送会社でも、時間的な焦りや感情的な運転が妨害運転につながらないよう、安全教育やドライブレコーダーを活用した指導を継続的に実施することが重要です。

赤信号を殊更に無視する運転

赤信号を認識しながら、あえて無視して交差点へ進入し、人を死傷させた場合は危険運転致死傷罪に該当する可能性があります。法律でいう「殊更(ことさら)に無視する」とは、信号を見落としたり判断を誤ったりした過失ではなく、赤信号であることを認識しながら意図的に進行することを意味します。

また、危険運転致死傷罪が成立するには、赤信号を無視しただけでなく、重大な交通の危険を生じさせる速度で走行していたことなども要件の一つです。例えば、交通量の多い交差点へ高速で進入し、横断中の歩行者や青信号で進行する車両と衝突したようなケースは該当する可能性があります。単なる信号無視による事故とは区別されるため、故意性や危険性が重要な判断材料です。運送会社でも、時間に追われる運行が無理な信号通過につながらないよう、余裕を持った運行計画を徹底することが重要です。

通行禁止道路へ進入する運転

歩行者専用道路や一方通行の逆走区間など、車両の通行が禁止されている道路へ故意に進入し、人を死傷させた場合は危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。通行禁止道路は、本来その場所の安全を確保するために設けられており、意図的な進入は重大な事故を引き起こす危険性が極めて高い行為です。

例えば、歩行者天国やスクールゾーンへ車両を進入させたり、一方通行を逆走して対向車や歩行者と衝突したりした場合などが例として挙げられます。危険運転致死傷罪では、単なる進入違反ではなく、重大な交通の危険を発生させる態様で運転したことが重要な判断要素です。特に事業用車両では、カーナビへの過度な依存や近道を優先する運転が違反につながることもあるため、標識の確認を徹底し、安全を最優先とした運転を心掛ける必要があります。

高速道路などで他車を停止・徐行させる運転

高速道路や自動車専用道路で、他車の通行を妨害する目的で前方へ割り込んだり急接近したりして、相手車両を停止または徐行させる行為も危険運転致死傷罪の対象となります。高速走行中の車両を急停止や急減速に追い込む行為は、多重事故や後続車との追突事故を招く危険性が極めて高いためです。

この類型は、2020年7月施行の法改正によって危険運転致死傷罪の対象に追加されました。このような妨害運転によって人を死傷させた場合は、重い刑事責任を問われる可能性があります。運送会社では、ドライバーに対して感情的な運転をしないことや、危険な車両とは距離を保つことを継続的に教育することが重要です。

ドリフト走行やウィリー走行など意図的に車両を制御困難にする運転

ドリフト走行やウィリー走行など、やむを得ない事情がないのに、故意にタイヤを滑らせたり浮かせたりして車両を制御困難な状態にさせ、その結果として人を死傷させた場合は、危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。これらの運転は車両の安定性が著しく低下し、運転者自身も進路を十分に制御できなくなるため、周囲へ重大な危険を及ぼします。

対象となり得るのは、単に車両が偶発的に滑ったケースではなく、運転者が意図して横滑りや前輪浮上などを生じさせた運転です。事故時には、ドライブレコーダー映像や走行軌跡、周囲の目撃状況などから、故意の操作だったかが確認されます。事業用車両では、通常業務では必要のない急旋回や意図的な空転などを禁止事項として明確にし、異常な車両挙動が記録された場合に早期確認できる運用が有効です。

2026年7月施行の法改正で変わったこと

2026年7月施行の法改正では、危険運転致死傷罪の適用基準が見直され、飲酒類型や高速度類型に数値基準が導入されたほか、新たな対象行為も追加されました。ここでは、法改正によって変更された主なポイントと押さえておきたい注意点について解説します。

飲酒類型に数値基準が設けられた

2026年7月施行の法改正では、危険運転致死傷罪の飲酒類型に客観的な数値基準が新設されました。改正前は「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」であったかを事故時の運転状況などから個別に判断していましたが、改正後は一定以上のアルコール濃度を保有していた場合に適用対象となる基準が明文化されています。

具体的には、血液1mL中1.0mg以上、または呼気1L中0.5mg以上が基準です。この変更により、適用可否を判断する際の客観性が高まりました。運送会社では、従来どおり乗務前後の酒気帯び確認を徹底し、基準に達する前段階から飲酒運転を防止する運用が必要です。

高速度類型に数値基準が設けられた

法改正では、高速度類型についても客観的な数値基準が導入されました。改正前は「進行を制御することが困難な高速度」に当たるかを道路形状や車両性能、事故状況などから判断していましたが、改正後は一定の速度超過を明示することで、適用の目安がより分かりやすくなっています。

具体的には、適用される最高速度が時速60km以下の場合は、その最高速度を50km/h以上上回る速度、最高速度が時速60kmを超える場合は、その最高速度を60km/h以上上回る速度が数値基準です。運行管理では、この数値だけを監視するのではなく、デジタルタコグラフなどで恒常的な速度超過や急加速の傾向を確認し、重大事故に至る前の段階で個別指導につなげることが重要です。

殊更滑走等類型が追加された

2026年7月の改正では、新たに「殊更滑走等類型」が危険運転致死傷罪の対象行為として追加されました。これは、従来の危険運転類型では評価しにくかった、車両を意図的に不安定な状態へ移行させる運転を明確に処罰対象へ位置付けるための変更です。

企業の安全教育では、通常の速度・飲酒管理とは別に、故意に車両の安定走行を失わせる操作を禁止事項として明示し、私有車を含めて公道で行わないよう周知することが重要です。

数値基準未満でも他の罪に問われる可能性がある

数値基準が新設されたことで適用判断は明確になりましたが、基準値だけで危険運転致死傷罪の成否は決まりません。飲酒類型では、基準未満でも「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」に該当すれば適用対象です。高速度類型でも、数値基準に準ずる速度で、道路・交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な場合や、従来からある「進行を制御することが困難な高速度」に該当する場合には、危険運転致死傷罪が成立し得ます。

また、危険運転致死傷罪に当たらなくても、過失運転致死傷罪や道路交通法上の酒気帯び運転、速度超過などが成立する場合があります。社内ルールを設ける際は法定基準をそのまま安全基準にせず、より手前の段階で運転を中止・是正できる基準を定め、記録や指導へつなげる運用が適しています。

危険運転致死傷罪が成立する要件

危険運転致死傷罪は、危険な運転をしただけで成立する罪ではありません。法律で定められた危険運転行為を行い、その結果として人を負傷または死亡させた場合に成立します。また、危険運転と事故との間に因果関係が認められることも必要です。2026年7月施行の法改正では、飲酒類型や高速度類型の一部に数値基準が導入されましたが、基準を満たさない場合でも、運転状況によっては危険運転致死傷罪や他の犯罪に問われる可能性があります。成立要件を正しく理解し、危険運転を未然に防ぐことが重要です。

要件 内容
危険運転行為 法律で定められた危険運転類型に該当する運転であること
死傷結果 人を負傷または死亡させる事故が発生していること
因果関係 危険運転行為と事故による死傷結果との間に因果関係があること
法律上の評価 2026年7月施行の数値基準に該当する場合のほか、基準未満でも運転状況によって適用される場合がある

危険運転致死傷罪は、事故の結果だけで判断されるものではなく、運転時の状況や危険性を総合的に評価して適用されます。そのため、運送会社では飲酒防止や速度管理だけでなく、日頃から安全教育や運転データの活用を通じて危険運転そのものを防止する体制づくりが重要です。

危険運転致死傷罪の罰則

危険運転致死傷罪は重大な交通犯罪として厳しい刑罰が定められており、事故の結果や運転状況によっては無免許運転による加重処罰や行政処分、損害賠償責任も生じます。ここでは、危険運転致死傷罪に適用される主な罰則や関連する法的責任について解説します。

人を負傷させた場合は15年以下の拘禁刑

危険運転致死傷罪によって被害者を負傷させた場合は、15年以下の拘禁刑が科されます。対象となるのは、飲酒や薬物の影響で正常な運転が困難な状態での運転や、法定要件を満たす著しい速度超過、妨害目的の危険運転など、法律で定められた悪質かつ危険な運転行為です。

危険運転致死傷罪は、法律で定められた危険な運転行為を意図的に行い、その結果として人を死傷させた場合が適用対象です。死傷結果についてまで故意が必要になるわけではありません。そのため、被害者が死亡していなくても、運転態様や事故の状況によっては厳しい刑事責任を問われる可能性があります。

実際の刑の重さは一律ではなく、負傷の程度、運転態様の悪質性、危険行為の継続時間、事故後の対応など、個別の事情を踏まえて判断されます。法定刑の上限だけを見るのではなく、同じ「負傷事故」でも事案ごとに量刑が異なり得る点を理解しておくことが重要です。

人を死亡させた場合は1年以上の有期拘禁刑

危険運転致死傷罪によって人を死亡させた場合は、1年以上の有期拘禁刑が科されます。法定刑の上限は有期拘禁刑の上限まで認められており、事故の悪質性や危険性、結果の重大さなどが刑を判断する際の考慮要素です。危険運転による死亡事故は極めて重大な犯罪として扱われ、事案の内容によっては重い実刑が科される可能性があります。

死亡事故では、被害結果が最も重大であることに加え、危険行為の態様や事故後の救護・通報状況なども量刑判断に影響し得ます。判決は個別事情に基づいて決まるため、「死亡させた場合は必ず同じ刑になる」と捉えず、法定刑と実際の量刑を分けて理解する必要があります。

無免許運転の場合は刑が加重される

危険運転致死傷罪は、無免許運転と重なった場合には刑が加重されることがあります。自動車運転死傷処罰法では、危険運転致死傷罪など一定の犯罪について、無免許運転をしていた場合の加重規定が設けられており、通常より重い法定刑が適用されます。

これは、運転資格を持たない、または免許停止・取消し中にもかかわらず運転する行為自体の危険性が高く、交通社会に与える危険も大きいと考えられているためです。無免許で危険運転を行い人を死傷させた場合は、危険運転そのものに加えて無免許運転の悪質性も評価されます。

運送会社では、採用時だけでなく、定期的な免許証確認や更新状況の管理を徹底することが欠かせません。免許管理体制を整備することは、重大事故や企業責任のリスクを低減するうえでも重要な取り組みです。

刑事処分だけでなく行政処分や損害賠償の対象にもなる

危険運転による事故では、危険運転致死傷罪として刑事処分を受けるだけでなく、行政処分や民事上の損害賠償責任を負う可能性があります。行政処分では、免許取消しや欠格期間の設定など、道路交通法に基づく厳しい措置が科される場合があります。

さらに、事故によって被害者へ生じた治療費や休業損害、慰謝料、逸失利益などについては、加害者が民事上の損害賠償責任を負います。重大事故では賠償額が高額になるケースもあり、状況によっては使用者責任などが問題となる場合もあります。

刑事・行政・民事の責任はそれぞれ目的や手続きが異なり、刑事裁判の結果だけで他の責任が自動的に決まるわけではありません。事故発生後は、捜査対応と並行して保険会社への連絡や被害状況の確認なども必要になるため、企業として各手続きを切り分けて把握しておくことが大切です。

危険運転致死傷罪とその他の罪の違い

危険運転致死傷罪は、重大な危険性がある運転を故意に行い、その結果として人を死傷させた場合に成立する犯罪です。一方、交通事故に関する犯罪には、過失による事故を対象とする過失運転致死傷罪や、あおり運転そのものを処罰する妨害運転罪(道路交通法)などがあり、成立要件や処罰の対象が異なります。

特に実務では、「危険な運転だったから必ず危険運転致死傷罪になる」とは限らず、運転態様や故意の有無、死傷結果の発生などを踏まえて適用される罪名が判断されます。そのため、それぞれの違いを理解しておくことが、安全教育や事故防止対策にも役立ちます。

罪名 主な対象 人の死傷 主な特徴
危険運転致死傷罪 飲酒・薬物、高速度、妨害目的運転など法律で定められた危険運転 必要 悪質・危険な運転を故意に行い、人を死傷させた場合に成立
過失運転致死傷罪 前方不注意、安全確認不足など過失による運転 必要 故意ではなく、不注意による事故で人を死傷させた場合に適用
妨害運転罪 あおり運転など一定の妨害行為 不要 危険な妨害行為自体を処罰する道路交通法上の犯罪で、死傷結果がなくても成立する場合がある

事故発生時に罪名を自己判断するのではなく、社内ではまず事故状況、速度、映像、点呼記録などの客観的資料を保全することが重要です。こうした記録は、後の捜査や事実確認だけでなく、同種事故を防ぐための安全教育や運行管理の見直しにも活用できます。

危険運転を受けた際の対処法

危険運転を受けた場合は、感情的に対抗せず、自身や周囲の安全確保を最優先に行動しましょう。応戦や追跡は事故やトラブルを招くおそれがあります。

危険を感じた際は、次のように対応してください。

  • 人通りのある駐車場や警察署、SA・PAなど安全な場所へ避難する
  • 車内でドアをロックしたまま110番通報する
  • 相手に降車を求められても車外へ出ない
  • ドライブレコーダーの映像や日時、場所、車両ナンバーを記録する

運送会社では、対応方法を安全教育や定期研修で周知するとともに、ドライブレコーダーの活用や緊急連絡体制を整えておくことが重要です。あらかじめ備えておけば、危険運転の被害を受けた際も落ち着いて対応しやすくなります。

運送会社が危険運転を防ぐための対策

運送会社が危険運転を防ぐには、運転者個人の注意だけに頼るのではなく、会社全体で安全管理体制を構築することが重要です。点呼時のアルコールチェックや健康状態・睡眠状況の確認を徹底し、酒気帯びや体調不良のまま乗務させない仕組みを整えることが、重大事故の未然防止につながります。また、事業用自動車の運送事業者には、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認や点呼記録の保存などが法令で義務付けられています。

さらに、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフの運転データを活用し、急加速・急ブレーキ・速度超過などの危険運転傾向を分析して個別指導を行うことも効果的です。ヒヤリ・ハット事例を社内で共有し、定期的な安全教育や実技指導を継続することで、安全意識の定着が期待できます。国土交通省も、ドライブレコーダー映像を活用した教育や一般的な指導・監督マニュアルの活用を推奨しています。

危険運転を防ぐには運転者と管理者双方の取り組みが重要

危険運転を防ぐには、運転者が法令や危険行為への理解を深め、飲酒運転や速度超過、あおり運転などを行わない意識を持つことが基本です。また、危険な車両に遭遇した際は、感情的に対抗せず、安全な場所への避難や警察への通報を優先する必要があります。

一方、運送会社の管理者は、点呼やアルコールチェック、免許証・健康状態の確認を徹底し、無理のない運行計画を整える役割を担います。ドライブレコーダーや運転データによる個別指導、ヒヤリ・ハット事例の共有、安全教育の継続も不可欠です。運転者任せにせず、管理者が仕組みとして支えることで安全意識は定着しやすくなります。双方が責任を共有し、危険運転を許さない職場づくりを進めましょう。

目次

Service

TRYESのサービスについて

訪問対面型サービス

燃費・事故データの構築から、法定12項目を含むドライバーミーティングの実施、経営者への報告まで、安全活動全体をアウトソーシングできるサービスです。25年以上の現場経験を持つ弊社から、専門スタッフが訪問し、管理者の負担を大幅に軽減します。

詳しく見る
ドライバーミーティングの様子
定額クラウドサービス

法定12項目をラジオ風の解説動画とクイズ形式の資料で学べるほか、ドラレコ映像を使ったKYT動画・安全教育スライド・ワンポイント動画など500本以上のコンテンツを定額で利用可能。紙でもスマホでも対応しているため、点呼時や荷待ち中など現場のすき間時間を活用できます。議事録や受講記録は自動で簡単に出力できます。

詳しく見る
TRYESレポートの教材イメージ

CONTACT

無料サンプル

安全教育のマンネリにお悩みの方へ。
実際の教材を無料でお試しください。

ダウンロードはこちら

お問い合わせ

お気軽にご相談ください。
通常1〜2営業日以内にご返信します。

お問い合わせはこちら
icon