物流業界の課題とは?人手不足・コスト上昇などの現状と解決策を解説
- 物流業界が抱える10の課題と深刻化している背景
- 現場・経営面で取り組むべき具体的解決策と物流DXの展開
- 2026年物流効率化法で企業(特に特定事業者・荷主)に求められる義務
物流業界では、ドライバー不足や高齢化、物流コストの上昇、荷待ち・荷役時間の長期化など、さまざまな課題が重なっています。さらに、EC市場の拡大による小口・多頻度配送や再配達への対応、2024年問題を経た輸送力の確保など、物流を取り巻く環境は大きく変わりました。今後も安定した物流を維持するには、物流DXや共同配送による効率化に加え、荷主と物流事業者が連携して商慣行や輸送体制を見直すことが重要です。
本記事では、物流業界が抱える主な課題や背景、具体的な解決策、2026年の物流効率化法で企業に求められる対応について解説します。自社の物流課題を整理し、今後取り組むべき施策を検討する際の参考にしてみてください。
物流業界が抱える主な課題
物流業界では、人手不足や輸送力の低下、物流コストの上昇に加え、荷待ち・再配達・低積載率など、さまざまな課題が複雑に関係しています。また、物流DXや脱炭素への対応など、中長期的な視点で取り組むべき課題もあります。ここでは、物流業界が抱える主な課題について解説します。
ドライバー・物流人材の不足と高齢化
物流業界では、トラックドライバーをはじめとする人材不足が深刻な課題となっています。トラックドライバーは全産業と比べて労働時間が長く、賃金水準が低い傾向にあり、有効求人倍率も全産業の約2倍とされるなど、人材を確保しにくい状況です。
さらに、トラックドライバーは40〜50代が中心で若年層が少なく、50歳以上が約5割を占めていて、今後は高齢層の退職によって担い手不足が一段と進む可能性があります。若年層の採用が進まないまま退職者が増えると、欠員を既存ドライバーで補う場面が増え、運べる荷物量や運行できる便数にも影響しかねません。人材不足は一時的な採用難ではなく、年齢構成と労働需給の双方から長期化する可能性があるため、物流の供給力そのものを左右する構造的な課題として捉える必要があります。
労働時間規制に伴う輸送力不足
2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用され、時間外労働は原則として月45時間・年360時間以内、特別条項付き36協定を締結する場合でも年960時間以内となりました。長時間労働の是正はドライバーの健康確保や労働環境改善に必要である一方、1人のドライバーが従来と同じように長時間運行することが難しくなり、輸送力の確保が課題となっています。
国土交通省の将来的な輸送力見通しによると、2030年度には平均で約7%、最大で約25%(1.7億~7.2億トン)の輸送力不足が生じる可能性が示されています。 特に長距離輸送では、労働時間や拘束時間を守りながら従来の輸送量を維持することが難しいケースもあります。限られたドライバーで必要な輸送力を確保するため、物流全体の生産性を高めることが重要な課題です。
燃料費・人件費など物流コストの上昇
物流事業者にとって、燃料費や人件費などの上昇も経営を圧迫する大きな課題です。特にトラック輸送では軽油価格の変動が運送原価に直接影響します。燃料費の上昇を踏まえ、燃料サーチャージを活用して荷主への適切な価格転嫁を促す仕組みも設けられています。
また、人材不足が続くなかでドライバーを確保するには、賃金や待遇の改善も欠かせません。2024年には燃料高騰などを踏まえて「標準的な運賃」の水準が平均8%引き上げられましたが、2026年度調査では、その8%以上を収受できた事業者は約35%でした。 コスト増加分を十分に運賃へ反映できなければ、利益が圧迫され、設備投資や賃上げの余力も失われるため、適正な価格転嫁が課題となります。
荷待ち・荷役時間による生産性の低下
トラックドライバーは運転だけでなく、荷主の拠点で荷物の積み降ろしを待つ「荷待ち」や、荷積み・荷卸しなどの荷役にも時間を費やしています。これらの時間が長くなるほど、ドライバーが実際に貨物を輸送できる時間が減り、車両と人員を有効に活用しにくくなります。
2025年度の調査では、1運行当たりの荷待ち・荷役等時間は平均2時間2分でした。前年から減少しているものの、依然として生産性向上に向けた重要な改善対象です。 荷待ちは物流事業者だけでは解決しにくく、荷主側の受入体制や予約方法、荷役方法なども関係します。そのため、ドライバーの長時間労働を抑えながら輸送力を確保するには、荷主と物流事業者が連携して無駄な拘束時間を減らすことが求められます。
EC(インターネットショッピング)拡大による小口・多頻度配送の増加
EC市場の拡大によって、物流には従来とは異なる配送負荷が生じています。2024年の国内BtoC-EC市場は26.1兆円、物販系分野では15.2兆円規模です。また、2024年度の宅配便取扱個数は50億3,147万個でした。
ECでは、店舗や倉庫へ商品をまとめて運ぶ輸送だけでなく、消費者ごとの注文に応じて個別の住所へ商品を届ける配送が多く発生します。注文する商品や受取時期が細分化されるほど、少量の荷物を高頻度で届ける必要があり、配送件数や作業量も増えやすい傾向です。ドライバー不足が進むなか、小口配送の増加へ従来と同じ方法で対応し続ければ、ラストマイル配送の負担がさらに大きくなる可能性があります。
再配達による配送効率の低下
宅配便では、届け先が不在の場合などに再配達が発生すると、同じ荷物を届けるために再び車両とドライバーを動かす必要があります。その結果、走行距離や作業時間が増え、本来は別の荷物の配送に使えた輸送力まで消費する点が問題です。
大手宅配事業者6社を対象とした調査では、2026年4月の宅配便再配達率は約7.6%まで低下していますが、依然として一定数の荷物で再配達が発生しています。 また、再配達はドライバーの負担だけでなく、車両の走行に伴うCO2排出量の増加にもつながる問題です。 そのため、1回で荷物を届けられる仕組みを広げることが重要です。
低積載率・空車回送による輸送効率の低下
トラックを十分に活用できていないことも、物流業界の輸送力を低下させる要因です。2024年度のトラックの積載効率は41.3%であり、輸送能力を十分に活用できていない状況が示されています。
荷物が少ない状態で運行したり、配送後に帰り荷を確保できず空車で営業所などへ戻ったりすると、ドライバーの労働時間や燃料を使っているにもかかわらず、運べる貨物量は増えません。特に荷主ごとに輸送を個別最適化すると、往路と復路の荷量や配送時間が合わず、非効率な運行が発生しやすくなります。
多重下請構造と適正な運賃収受の難しさ
トラック運送業では、荷主から依頼を受けた元請事業者が別の事業者へ運送を委託し、さらにその先へ再委託する多重下請構造が生じる場合があります。多重下請構造は、実際に運送を担う事業者による適正な運賃収受を妨げる一因とされています。
委託が重層化すると、実運送事業者までの取引関係や運賃の流れが見えにくくなり、実際に輸送を担う事業者へ十分な対価が行き渡らない可能性があります。適正な運賃を確保できなければ、ドライバーの賃上げや車両更新、安全対策などに必要な原資の確保も難しくなります。こうした状況を踏まえ、契約内容の書面化や実運送体制管理簿による下請構造の可視化などが進められており、取引環境そのものの適正化が求められています。
アナログ業務が残ることによる物流DXの遅れ
物流現場では、輸配送や倉庫作業だけでなく、受発注、配車、伝票処理、入出庫管理など幅広い業務が発生します。こうした業務で紙の書類や電話、FAX、手入力などに依存していると、情報の転記や確認に時間がかかり、入力ミスや情報共有の遅れも起こりやすい状況です。
また、企業ごとに使用するシステムやデータ形式が異なる場合、自社だけをデジタル化しても取引先との情報連携が十分に進まないケースがあります。ドライバーをはじめとした人材が不足するなか、手作業を前提とした業務を残したままでは、一人当たりの生産性向上にも限界が生じます。
CO2排出量削減など環境負荷・脱炭素への対応
物流業界では、輸送力を維持しながら環境負荷を抑えることも重要な課題となっています。2024年度の日本のCO2排出量のうち運輸部門は19.3%を占め、そのうち貨物自動車による排出は運輸部門の37.8%に相当します。 トラック輸送への依存度が高い物流では、CO2排出量の削減に向けた継続的な対応が欠かせません。
環境負荷への対応では、車両単体の燃費や動力源だけでなく、「貨物量」や「輸送距離」に対して、どの程度のCO2を排出したかという視点で輸送を捉えることが重要です。物流は荷主・元請・実運送事業者など複数の企業をまたぐため、排出量の把握に必要な走行距離や輸送量などのデータが分散しやすい点も課題になります。効率化と脱炭素を同時に進めるには、輸送実績を把握できる状態を整え、改善効果を継続的に確認できる仕組みが必要です。
物流業界の課題が深刻化している背景
物流業界の課題が深刻化している背景には、輸送を担う人材や稼働時間が限られる一方で、納品時間の指定や小口配送など、物流に求められるサービスが細分化していることがあります。これまで長時間労働や個別対応で吸収してきた非効率を、そのまま維持しにくくなっていることが大きな構造変化です。
また、物流は運送会社だけで完結せず、発注量や納品頻度、荷役方法、受取方法など、荷主や受取側の条件によって必要な車両・人員が変わります。供給側の制約が強まるなかで、従来と同じ条件を前提にすると、限られた輸送力を有効に使えません。そのため現在の物流課題は、単純な人手不足ではなく、需要の出し方と輸送の仕組みを同時に見直さなければ改善しにくい問題になっています。
2024年問題を経た物流業界の現状
2024年問題で懸念された輸送力の急減については、当初2030年度に約34%と見込まれた不足のうち、2024年問題分にあたる約14%分は、官民の取り組みなどでおおむね克服されました(輸送需要が約12%減ったことも影響) 。ただし、これは輸送余力が十分に確保されたことを意味するものではなく、地域や荷種、運行条件によっては車両を確保しにくい場面が残っています。
実際に2025年に行われた事業者向け調査(経済産業省北海道経済産業局が道内企業74社を対象に実施 )では、半数以上の事業者が2024年問題による輸送能力不足の顕在化を感じており、物流費の増加や輸送できないリスクの高まりなどが報告されています。
足元では、規制への形式的な対応よりも、限られた労働時間の中で1台・1人当たりの輸送量をどう高めるかが焦点になっています。拘束時間を短縮しても、待機や荷役、低積載のままでは輸送力の余裕は生まれません。2024年問題を経て、物流業界は「長く働いて運ぶ」体制から、運行・荷役・発注条件を含めて生産性を高める体制へ移行する段階にあります。
物流業界の課題を解決するための対策
物流業界の課題を解決するには、業務効率化だけでなく、人材確保や輸送方法、商慣行などを幅広く見直す必要があります。ここでは、物流業界の課題解決につながる主な対策について解説します。
物流DXで業務を効率化する
物流DXでは、システムを増やすこと自体ではなく、手作業や二重入力、確認待ちが発生している工程を特定し、情報の流れを整理することが重要です。まず、受発注・配車・入出庫・在庫管理などの業務ごとに、作業時間や入力回数、ミス・手戻りの発生箇所を洗い出すと、優先してデジタル化すべき工程を判断しやすくなります。
そのうえで、担当者ごとに異なる運用やデータ項目を標準化し、同じ情報を複数の帳票へ転記しない仕組みに変えることも重要です。具体的なシステムや設備の活用例は後述します。
労働環境・待遇を改善して人材を確保する
ドライバー不足を緩和するには、採用人数を増やすだけでなく、既存の人材が長く働き続けられる環境を整えることが重要です。2026年度からの総合物流施策大綱でも、物流人材の地位・能力の向上と労働環境の改善が主要な施策の一つに位置づけられています。
具体的には、適正な運賃の収受を通じた賃金・待遇の改善に加え、休日を確保しやすい勤務体系や無理のない運行計画を整えることが必要です。免許取得支援や教育制度の充実、女性や若年層も働きやすい設備・勤務環境の整備なども、人材の裾野を広げる対策になります。
荷待ち・荷役時間を削減する
荷待ち・荷役時間を減らすには、まず「どこで・いつ・何の作業で時間がかかっているか」を把握することが重要です。拠点別・時間帯別に到着から作業開始、荷役終了までの時間を記録し、車両の集中、受付手続き、バース不足、検品方法など、滞留の原因を切り分けると改善策を選びやすくなります。
原因に応じて、入場枠の設定や到着時間帯の平準化、バース運用の見直し、パレット化、事前出荷情報の共有、検品手順の簡素化などを組み合わせます。物流事業者だけで解決できないケースも多いため、発荷主・着荷主が入出荷体制を見直し、どの工程で滞留が生じているかを確認しながら改善を進めることが重要です。
共同配送・共同輸送で積載率を高める
荷物が少ない状態でトラックを走らせる非効率を改善する方法の一つが、複数企業による共同配送・共同輸送です。荷主ごとに個別のトラックを手配するのではなく、配送先や時間帯、貨物の条件が近い荷物をまとめて輸送することで、1台当たりの積載率を高め、必要な車両やドライバーを減らしやすくなります。国も低い積載率への対策として共同配送を推進しています。
さらに、往路と復路で異なる荷主の貨物を組み合わせれば、帰り荷を確保して空車回送を減らすことも可能です。ただし、共同化には配送条件や荷姿、納品時間、パレットなどの調整が必要になるため、企業間で物流データを共有し、条件を標準化しながら進めることが欠かせません。
中継輸送で長距離運行の負担を減らす
長距離輸送によるドライバーの負担を軽減する方法として、中継輸送があります。中継輸送とは、一人のドライバーが出発地から目的地まで運び切るのではなく、中継拠点でドライバーの乗り替えやトレーラーの交換などを行い、複数のドライバーで長距離区間を分担する輸送方法です。
従来の長距離運行では、長時間の運転に加えて宿泊が必要となり、往復に2~3日かかるケースもあります。中継地点を適切に設定すれば、それぞれのドライバーが担当区間を走って日帰り勤務できる運行も実現しやすくなります。長時間労働や宿泊を伴う勤務を減らせるため、人材の定着や採用面での改善にもつながる対策です。
モーダルシフトでトラック輸送への依存を減らす
モーダルシフトとは、トラックで行っている貨物輸送の一部を、鉄道や船舶などへ転換する取り組みです。特に長距離の幹線輸送を鉄道・船舶に切り替え、集荷や配送などの前後区間をトラックが担うことで、長距離運転に必要なドライバーの負担を軽減できます。労働力不足への対応に加えて、物流の効率化にもつながる対策です。
また、鉄道や船舶はトラックより輸送時のCO2排出量が輸送量当たりで少ないため、物流分野の脱炭素対策としても有効です。一方、輸送量やリードタイム、発着地と駅・港との距離などによって適性が異なります。すべてを切り替えるのではなく、長距離区間を中心に各輸送手段の特性を踏まえて組み合わせることが重要です。
配送条件・商慣行を見直す
物流効率を高めるには、物流事業者側の改善だけでなく、荷主企業が発注・納品条件や従来の商慣行を見直すことも重要です。短いリードタイムや細かな時間指定、小ロットでの多頻度納品などを当然の条件とすると、トラックやドライバーを効率的に運用しにくくなります。国も物流全体の最適化に向け、商慣行の見直しや荷主・消費者の行動変容を進めています。
具体的には、十分な納品リードタイムの確保、納品日の集約、繁閑差の平準化などが有効です。物流事業者と荷主が配送頻度や時間指定などの条件を協議し、物流コストや現場負担も踏まえた取引条件へ変更することで、積載効率の向上や長時間労働の抑制につなげられます。
置き配などで再配達を減らす
再配達を減らすには、受取人が在宅している時間に配送を合わせるだけでなく、初回配達で受け取れる選択肢そのものを増やすことが重要です。配送前に受取方法を選べるようにし、不在時でも受け取れる手段へ切り替えやすくすると、再配達の発生を抑えやすくなります。
対策としては、置き配や宅配ボックス、コンビニ受取など、在宅していなくても受け取れる方法を利用しやすくすることが有効です。加えて、配送日時の事前通知や受取日時・場所を変更できる仕組みを整えれば、一度で受け取れる可能性を高められます。荷主・宅配事業者だけでなく、消費者の協力も必要な取り組みです。
物流DXで取り組める具体的な改善策
物流DXでは、輸配送・倉庫・情報管理をデジタル化し、作業時間や人員配置の無駄を減らすことが重要です。
具体的な取り組みとして、次のような方法があります。
- 配車計画システムによる配送ルートや車両配置の最適化
- 車両動態管理システムによる運行状況の把握
- トラック予約受付システムによる荷待ち時間の削減
- 無人搬送機器や自動倉庫による荷役作業の省人化
さらに、受発注・在庫・配送などのデータ項目や更新ルールを統一すると、部門や企業をまたいでも同じ情報を使いやすくなります。まずは業務量が多い工程やミスが起きやすい工程から導入し、作業時間や誤入力の減少などを確認しながら対象範囲を広げることが大切です。
2026年の物流効率化法で企業に求められる対応
2026年4月から、物流効率化法に基づき、一定規模以上の荷主や物流事業者には中長期計画の作成や定期報告など、新たな対応が求められています。また、特定荷主・特定連鎖化事業者には物流統括管理者(CLO)の選任も必要です。ここでは、2026年の物流効率化法で企業に求められる主な対応について解説します。
荷待ち時間・荷役時間の短縮と積載効率の向上に取り組む
物流効率化法では、2025年4月から、すべての荷主、連鎖化事業者、貨物自動車運送事業者等、貨物自動車関連事業者が、事業者の区分に応じた物流効率化の取り組みに努めることとされています。荷主には、積載効率の向上等に加え、ドライバーの荷待ち時間と荷役等時間の短縮に努めることが求められます。
対応にあたっては、発荷主・着荷主それぞれが自社で管理できる工程を整理し、判断基準に沿って改善項目を設定することが重要です。たとえば、発注・出荷側、入荷・受入側、荷役を担う現場で責任範囲を分け、実施状況を記録できるようにしておくと、継続的な見直しにつなげやすくなります。特定事業者に該当する場合は、こうした取り組みを後述する中長期計画や定期報告へ反映できる管理体制も必要です。
一定規模以上の特定事業者は中長期計画を作成する
2026年4月からは、一定規模以上の荷主や物流事業者が「特定事業者」として指定され、中長期計画の作成・提出が義務付けられています。指定基準は事業者の区分によって異なり、たとえば特定荷主・特定連鎖化事業者は前年度の取扱貨物重量が9万トン以上、特定貨物自動車運送事業者等は保有車両150台以上、特定倉庫業者は貨物の保管量70万トン以上が基準です。
中長期計画には、事業者の区分に応じて、積載効率の向上や荷待ち・荷役等時間の短縮に向けて実施する措置、その具体的な内容や目標、実施時期などを盛り込みます。対象企業は物流上の課題を把握したうえで、単年度の改善にとどまらない継続的な取り組みとして計画を策定する必要があります。
特定事業者は物流効率化の取り組み状況を定期報告する
特定事業者には、中長期計画を作成するだけでなく、物流効率化に向けた取り組みの実施状況を定期的に国へ報告する義務があります。指定を受けた翌年度以降の毎年度、判断基準の遵守状況や関係事業者との連携状況などを報告する仕組みです。
また、荷主・連鎖化事業者・倉庫業者については、対象となる施設における荷待ち時間や荷役等時間の状況も報告項目に含まれます。そのため、物流改善策を実施するだけでなく、現場の時間を把握し、取り組みによってどの程度改善したのかを継続的に確認できる管理体制が欠かせません。計測・記録の方法も含め、定期報告を見据えた社内の運用ルールを整えておくことが重要です。
特定荷主・特定連鎖化事業者は物流統括管理者(CLO)を選任する
2026年4月から、特定荷主・特定連鎖化事業者には、物流統括管理者(CLO:Chief Logistics Officer)の選任が義務です。CLOは単なる物流部門の実務責任者ではなく、物流効率化を全社的に推進する役割を担うため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある役員などの経営幹部から選任することが求められます。
CLOは、中長期計画や定期報告の作成をはじめ、物流効率化に向けた事業運営方針や管理体制の整備、設備投資・デジタル化などの計画策定、社内の関係部門との連携を統括します。物流を現場だけの課題として扱うのではなく、調達・生産・販売・在庫などを含めた経営課題として改善を進める体制づくりが重要です。
物流課題の解決には関係者全体の連携が重要
関係者が連携する際は、単に情報交換の場を設けるだけでなく、どの課題を誰が改善するのかを明確にすることが重要です。たとえば、荷待ち時間、積載率、納品回数など共通で確認する指標を決め、発荷主・着荷主・物流事業者がそれぞれ管理できる工程と責任範囲を整理すると、改善が止まっている箇所を把握しやすくなります。
また、取り組みを継続するには、データの共有方法や更新頻度、費用負担、効果の確認方法まで事前に決めておく必要があります。一方の都合だけで条件を変更すると、別の工程へ負担が移る可能性があるため、定期的に結果を確認しながら条件を調整する仕組みが欠かせません。個別施策の実施だけでなく、関係者が同じ指標を見て改善を続けられる運用体制をつくることが、物流全体の最適化につながります。
物流の課題を把握して持続可能な輸送体制の構築につなげよう
物流業界では、ドライバー不足や高齢化、物流コストの上昇、荷待ち・荷役時間、低積載率など、複数の課題が相互に影響しています。2024年問題を経て労働時間の適正化が進む一方、限られた人員で必要な輸送力を確保するため、物流全体の生産性向上がこれまで以上に重要です。
物流DXによる業務効率化や共同輸配送、中継輸送、モーダルシフトなどを活用するとともに、荷主と物流事業者が連携して配送条件や商慣行を見直すことが必要です。物流効率化法への対応も踏まえ、自社の課題を整理して優先順位を明確にし、持続可能な輸送体制の構築に向けて継続的に改善を進めましょう。
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